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昨日、石垣島で野生化しているカピバラのニュースが掲載されていました。
カピバラが稲パクパク、頭抱える農家 石垣市
石垣市で野生化したカピバラが稲を食べる食害が昨年秋から発生している。2年前に目撃され、当初はおとなしい草食動物で実害はないとみられていた。運動能力が高く、捕獲が難しい上に、行政は「駆除名目が見つからない」と困惑。
稲作農家は収入の大半を占める1期米に被害が出ないか気をもんでいる。かみ切られた稲の苗が放置された水田で農家の上地国博さんは「苗が41箱分食われていた。もうショックで…」と声を落とす。5日朝の田植えのため前日、苗箱を水田に置いていた。
周囲には3本指の足跡が複数あり、JA担当者は「イノシシは2本指。3本指はカピバラに間違いない」と断言する。上地さんはJAから急きょ苗を購入した。2万3千円の出費。「1期米がやられると大損害。早く対応してほしい」と訴えている。
カピバラは2013年、市内の観光施設から逃げたとの見方があるが、同施設は否定する。水辺に生息し、13年は新川川、14年春から名蔵川で目撃が相次いだ。昨年秋、名蔵の農家からは稲穂が食べられたとの苦情がJAに寄せられた。
警戒心が強い上、走ると犬並み、数分間の潜水も可能で、垂直の壁を上る跳躍力もある。市消防は2年前、捕獲に失敗。捕まえれば警察に遺失物として届け出ることもできるが、捕獲は困難と予想されている。特定外来生物や有害鳥獣の対象ではなく、市は「ペットが逃げたという認識。飼い主が駆除申請すれば対応は考えられるがそれもなく、勝手に駆除できない。捕獲も難しい」と頭を抱えている。
沖縄タイムス 3/8
今回は、苗41箱がカピバラによって食べられたという被害ということだが、これから、更に多くの被害が出る事が予想されるのは、カピバラを少し知っている方なら誰でも思っている。
南米で野生として生きている大人のカピバラは、一日に2.5~3.5kgの草や木の実を食べる。年間に計算すると、ざっと1000kgだ。
でも単純な1000kgではない、動物園で餌を食べているカピバラを観察すると、好きな食材や部分から食べる性格である。例えば、白菜、芋、人参を餌台に置けば、大好きな白菜と芋は先に食べて、人参はお気に召さないのか少し時間が経ち腹が再度減ったら仕方が無く食べるなんて姿も見られたり、大好きなスイカもそうだ、赤い実の部分を食べたら近くに実は残ってないか探し、無いのを確認したら皮を食べることも見られる。
これは動物園の話で、野生だったら、一本の稲があったとすると気に入った部分だけ食べては他の部分を残し、次の稲を食べるだろう。それが実なのか、茎なのか、新芽なのかは分からないが。となると「年間1000kgの食い散らかし」は、植物の一部であり、トータルすると何千kgを食べ散らかすのかは未知数、1頭だけだから増えないしと思ったらこの先何年も続く。
一度美味しいと思った物はカピバラは忘れないし、イネ科の植物や甘いサトウキビは大好物だ。
最小限に被害を食い止めるためには、収穫期になる前に捕獲した方が最良だと思うのだが、捕まらないと記事には書いてある。
だったら専門家を呼んで真剣に捕獲作戦を行った方が良いと思う。
以前2008年に移動動物園のカピバラが福井県で一週間、野山にカピバラが脱走した事もあったが、ワナを仕掛けて捕獲出来た。又、長崎にある長崎バイオパークなどは園内で違う何百mも離れたエリアに脱走したカピバラを傷つける事無く飼育員数人で追いかけながら上手に捕獲する。
長年の経験と日々の飼育員の連携プレーは、簡単に真似の出来ない技なのだ。簡単ではないが、時間を掛ければ捕獲は出来ると思うのだが・・・。
今回は、食物被害だけだったが・・・
近くの畑を荒らされているのを目の前で見たら黙ってられない。農家の方だったら止めに入る人だろうし、これから多くなる観光客も、TVでお風呂に入って大人しい動物だと思っている人が興味本位で近寄って手でも出したら、カピバラはどの様な行動を起こすかも分からない。
大人しい癒し動物の代名詞であっても、動物園で治療や移動の為に大きなケージという入れ物に追い込む時などは、カピバラの腹の虫が悪ければ、何時も餌を貰っている飼育員にだって60kgの巨漢で突進したり鋭い歯で噛み付く事もある。
それはそうだ、どんなに大人しい人間であっても、怒る時はあるし、悪いやつに捕まると思えば逃げたり反撃するのとカピバラだって同じだと思う。
ただ・・・
ここまで読んで、よーく考えて欲しい。
新聞記事も「被害」と書いてあり悪者はカピバラだ。
でも、島に元々住んでいる日本の在来種ではカピバラはないのだから、持ち込んだ人間が悪くカピバラは悪くない。食害でも大事件だが、人間に怪我をさせたら殺処分だってあるかもしれない。出来ることなら、一日も早く、カピバラの飼育経験のある動物園に依頼して生きたまま捕獲をして欲しい。
石垣で野生化したカピバラとして動物園で展示したら、スターとなりカピバラファンや大勢のお客さんがその動物園に会いに行く事だろう。
そして最後に・・・
昨今のカピバラブームで動物園にはペットとしてカピバラを家で飼育出来ないかという問い合わせがあるという。
犬や猫はペットとして研究され、人間と共存する方法も確立されつつある。でもカピバラは野生の動物であり、生態も知能も能力も、はっきりとは分からないのが現状だ。大きくなると60kgになるカピバラもいる、動物のプロの動物園でも飼育員に懐かないカピバラもいる、気軽には飼えない動物だという事を、この記事を通して皆様に分かって欲しい。
(写真は石垣のカピバラではなく、ブラジル遠征にて撮影した野生のカピバラ)